Coulombの法則は何故逆2乗則か?
点電荷が作る磁場の計算や電荷同士に働く力の計算でお馴染みCoulomb(クーロン)の法則だが、医用電気工学のテキストでは
と表されることが多い。「点電荷が作る電場は電荷に比例し、距離の2乗に反比例する」という、いわゆる「逆2条則」の典型例である。そもそも何故2乗に反比例するのか考えたことがあるだろうか。単なる反比例や3乗に反比例しちゃダメなのだろうか?
高校物理の教科書や参考書では歴史的な事情からか、
とおいて、
と紹介していることも多いが、もはや発狂モノだ。こんなの丸暗記しても、本質の理解には到底及びそうにない。本質を理解するために、まずは現象を単純に捉えてみよう。
本来ならばCoulombの法則は電束密度Dを用いて
と与えられるべきものだ。この式の意味するところをイメージできたなら、この先の理解はきっと早い。
勿論、この式は電荷の大きさ(すなわちそこから出る電束の本数)を半径rの球の表面積で除している。これは、「電束密度とは単位面積当たりの電束*1である(電束密度=電束の本数÷面積)」という定義そのものにすぎない。勿論、電束の空間的な広がり方は点電荷に対して球対象であるから球の表面積で除しているわけだ。
とすれば、
であるから、両辺をεで除して、
を得る。
ちなみに、この考え方を拡張すると、任意の平曲面Sに対しては、
と表すことができる。これはMaxwell(マックスウェル)方程式を構成する方程式の1つ、Maxwell-Gauss(マックスウェルーガウス)の式*2とよばれるものである。
電場がわかれば電荷に作用する力はすぐにわかる
当然、電場は「1Cの電荷が受ける力が1Nであるような電場の大きさを1 [N/C] = 1 [V/m]と定める」こと、すなわち電荷Q、電場Eに対し、作用する力が
と与えられるため、電荷同士に作用する力については、「電荷Q1が作る電場がQ2に及ぼす力」を考えれば、自ずと
であることも理解できよう。
対称性を考えよう!
物理現象を考察する際に、対称性はとても便利だ。別の機会に「無限長直線電流が作る磁場」と「円環電流の中心の磁場」について紹介するつもりだが、このような電流が作る磁場を考えるときも非常に役に立つ。自然現象を考察するときは、是非とも対称性に着目してみよう。きっと、新たな見方が見つかる筈だ。